例文で説明!Want と Wanting の違いとその使い分け
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Want の語源
want は「~が欲しい」という意味で多用されます。ただし一方で「~を欠いている」という意味でも使用されます。
多くの英語学習者の人たちは、この単語を「~が欲しい」という意味で覚えた後に「~を欠いている」という意味が同時に含まれるといことを、後になって知るというパターンでしょう。
語源を確認すると以下のような記述があります。
c. 1200, “deficiency, insufficiency, shortage,” from want (v.) and from Old Norse vant, …
1,200年頃の古ノルド語の vant に由来しており、その意味は現代の英語で言うところの “deficiency, insufficiency, shortage” ということです。
つまり「不足」ということですね。
これだけだと「~を欠いている」という意味でしか取れませんが、Online Etymology Dictionary の同ページに以下のようなことが続けて記述されています。
Meaning “thing desired, that which is lacking but needed” is from 1560s.
どうやら1,560年頃になると “thing desired, that which is lacking but needed” と、意味に変化が出てきたようです。
つまり、「欲しいもの、または欠いているが必要なもの」という意味合いで使用されるようになったということです。
いつその意味に変化が出たのか明確な時期は特定されていませんが、自分が持っていないからこそ欲するという人間の欲望は理解できますね。
I’m wanting
I’m wanting とはなんとも不思議な表現です。
want は know、like、belong などと同様に状態動詞なので、本来は進行形にできないはずです。
実際には、
How are you liking it?
それ気に入っているの?
などのように状態動詞であっても進行形に変化するものがありますが、これは「好き」という時間軸に左右されない状態を表しているのではなく、あくまでも現在の状態を一時的な「動作」として扱うので、結果としてこのような形が許容されるのです。
日本語で言うならば、この場合の liking は「好き」ではなく「気に入っている」となります。
話がそれましたが、I’m wanting とは一体どういう意味なのでしょうか。
答えを言ってしまうと、以下と同様の意味になります。
I’m lacking …
~を欠いている。
ただし実際問題として現代において I’m wanting(~を欠いている)という言い方はまずしません。
これは古い言い方でなので、ひとつの知識として覚えておくのはいいですが、表現方法としては使用を控えるべきです。

共産主義の提唱者として有名なカール・マルクスが多大な影響を受けたとされるフリードリヒ・エンゲルスによるイギリスの労働者階級の悲惨な現状を記した本がありますが、この書を読んでいると want が「~欠く」という意味で多用されています。
1845年出版の書籍です。
今から150年以上前の want には現在と比較して、この意味合いが強かったと推測できますね。
あなたが「欠いている」ということを言いたいのであれば、上で挙げた例文のように lack など一般的に使用される単語を使うほうが無難です。
want(~を欠いている)は以下のような使用方法をよく目にします。
Want of water.
水不足。
want of ~(~不足)というイディオムで覚えておくとよいでしょう。