暇人の英語雑記ブログ

星島貴徳物語 – 第4章

2018.08.23事件

女性を毛嫌い

星島は女性を毛嫌いしていた。

いや、本音を言うと嫌われることが単純に怖かったのだと思う。

本当は恋人が欲しかった。人として生きている以上当たり前の感覚だ。

初めて異性を経験したのは5年ほど前、鶯谷のデリヘルだ。仕事帰りにアルコールをたしなみ、酔った勢いで挑戦してみたのである。

純粋に気持ちいいと思った。

童貞を捨てることはできたが、あくまでもプロ相手であり「素人童貞」というレッテルは剝がれなかった。

「彼女が欲しいが、足のヤケドをからかわれるのではないか」

そのような気持ちが常に心の片隅にある。女友達と呼べるような人もいない。

まわりの男性陣は海外の女性と交流を持つために英会話教室に通ったり、職場の女の子に声をかけたりといろいろと努力をしていたと思う。

ただし自分は声をかけた女性に彼氏がいたり、完全に思いどおりにならないと嫌だったので、初めから声をかけることをあきらめていた。

街を歩いていて、すれ違いざまに突然告白してくるようなシチュエーションを待っていたのだ。

彼女を作るには声掛けから始まる交流があり、その後に2人きりで出会うデートのようなものに進むのが普通だが、星島の中にそのような恋愛プロセスは皆無だった。

本当は喉から手が出るほど彼女を欲していた。

映画を見に行ったり、一緒に買い物や遊園地に行き、帰りにはホテルに寄ってセックスができるような女性の存在が欲しくてたまらなかった・・。

ただし自分のことをずっと好きでいて、尽くしてくれる女性であることが絶対条件である。

いつキスしてもいいように常に歯を磨き、髪型や洋服は自分の好みに合わせてくれる人。

そのような理想の女性はバーチャルな世界にしか存在しないことには気付いていたが、自分の中ではそれが相手に求める絶対条件になっていた。

だからこそ、自分の依存するよう性の快楽におぼれさせ人格を上書きしようと考えたのである。

気付いたときには殺人犯になっていた。

23:00過ぎ 死体を浴槽に運ぶ

彼女を殺害した時刻は23時過ぎだったと思う。

死亡を確認後、部屋の照明を付けた。

多量の血が流れていることは分かったが、その色までは鮮明に覚えていない。血なのだから赤色に決まっている。ただしそこの記憶が抜け落ちている。

血の跡を消すためにクローゼットからバスタオル2枚を持ってきて血を吸わせた。

すぐに血に染まったタオルを浴室で洗い流すと、その跡はキレイに消えた。

ここからが本番である。

彼女の存在を隠蔽するためにバラバラにしなくてはいけない。

とりあえず死体を浴室に運ぶ必要がある。お風呂場であれば血を流すことができるからだ。

星島は彼女を運ぼうと持ち上げることを試みた。

動かなくなった人の体は意外と重たい。力が足りず引き上げることができなかったので、しょうがなくエアマットごと動かしていった。

ordinary-bathtub

浴室の手前まで持っていくと次に女性の遺体を引っ張り上げ、少しずつ持ち上げて形でずらし体全体が入るように試みたが、浴室がせまく足がはみ出してしまった。

女性の両ひざを曲げ、浴槽にもたれかかるように座らせる。

浴室にほんのちょっと入り込んでいたエアベッドは少しばかり戻した。ベッドから漏れた血で床が汚れていたのでタオルでふき取った。

次に彼女の服を裁縫用のサイズの大きなはさみで切っていく。体を持ち上げて脱がすのは大変なので、切ってしまうほうが容易だと考えたのだ。

女性が着ていた衣服は黒のスプリングコート、水色のブラジャー、黒いタイトスカートに黒いストッキング。パンツは赤い毛糸状のものだ。

「これらはどこに捨てようか・・」

マンションのゴミ捨て場は警察がチェックする恐れがあるので、そこへの投棄はできない。

とりあえず切った服はたまたま持っていたコンビニの袋の中に入れておいた。目隠しに使用したピンク色のジャージも同様に切って入れる。

女性を裸にするのに要した時間は10分ほどだと記憶している。

これから遺体の解体だ。

初めはノコギリで切断を試みたが刃を受け付けなかったので、自室にあった切れ味の良い包丁を使用し、骨はノコギリで切ることにした。

916号室から持ってきた包丁を使うのは止めておいた。首を刺した感覚では、切れ味が悪そうだったからである。

解体に使用する包丁は小さいものと大きいものの2つで、犯行より1年半から2年くらい前に同時に購入したものだ。

遺体解体の開始

解体を始める。

初めは頭部の切断に取り掛かった。

「殺したことで恨まれている、のろわれる」

そのような考えが頭をめぐり、解体中に顔を見るのが怖かったのだ。

「逮捕されたくない」

この思い一心だった。それ以外の何ものでもない。

小さい包丁を彼女の右肩寄りの首の箇所に突き刺した。

一度深く刺し、首の骨にあたるところまで切込みを入れた。そして包丁を前後に動かしながら、首の前のほうへと切り口を広げていく。背中側も同様の方法で広げていった。

最後に反対の左側のほうに包丁を入れ、まわりを一周するように切り込みを入れた。

次に首の背中側にノコギリを当て首の骨を切っていった。刃に骨がつまることがあったので、何度かシャワーで洗い流しながら30分程度で頭部の切断に成功した。

切った箇所の筋肉は縮まり骨が飛び出した状態だったので、そこをつかみちょうど頭のてっぺんが下になるようゴミ袋の中に入れた。

彼女の最後の表情は確認していない。

首なしの死体を浴室の奥へと少し動かし解体を続けた。

次に取り掛かったのは右足。

再び小さな包丁で足を一周するように切り込みを入れ、ノコギリをあてる。

首と同じく切った箇所は肉が縮まり骨がよく見えた。筋肉は赤色で脂肪の部分は黄色だったことを記憶している。

胴体から切り離した後は、水でよくすすいだ。

右足の切り離しに要した時間は30-40分程度。切断が終わるといったん浴槽の中に入れておいた。

同様の方法で左足と左右の腕を切断していった。

19日2:00頃 深夜のノック

ちょうど左腕を切っていたときに玄関に再びノックがあった。午前2時くらいだったと記憶している。

体が凍りついた。

起きていることは確かなので、出ないわけにはいかない。そうしないと怪しまれる。

とっさにお風呂に入っていたことにする芝居を思いついた。

手や足に付着していた血を洗い流し、髪の毛を濡らし上半身裸で下はジーンズという姿で対応した。

頭部の入ったビニール袋は浴室にしまった。洋室の照明は消し、部屋を暗くする。

mansion-night-view

玄関の扉を開けると刑事と思われる人たちが3人ほど立っていた。

刑事「お風呂に入っていましたか?」

「はい」

刑事「916号室の女性の行方が分からなくなったのですが、叫び声などは聞きませんでしたか?」

「ちょっと記憶にないですね。なかったと思います。・・もう眠いんで寝ていいですか?」

警察からの訪問はこの後も何度か受けている。一度自分が殺害した女性の顔写真を見せられた記憶があるが、それがこの時だったかまでは覚えていない。

刑事の方たちは918号室には足を踏み入れなかった。

心底ホッとした。

最後に何を言われたかは覚えていない。焦りを感じていたからだろうか、ここらへんのやりとりの記憶が少し曖昧である。

彼らが去っていき玄関のドアを閉める直前に共用通路に目をやった。

そこには数多くの警察官がいて、どうやら現場検証を行っているようだった。

「遺体の処分を早く進めないといけないな・・」

自分の部屋を見せろと言われるのも時間の問題である。

次章:星島貴徳物語 – 第5章

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