天才ハッカーアイスマンの正体とマックス・バトラーの素顔 – 第1章
マックス・バトラーの人物像
天才ハッカーアイスマンの正体とマックス・バトラーの素顔 – 序章からの続きです。

マックスはアメリカ合衆国アイダホ州ボイシ出身で8歳の時にプログラミングを始めました。
ドキュメンタリー番組 American Greed のインタビューにて Visual Basic を使用したゲームだったということを述べています。
父ロバート・バトラーはベトナム戦争の帰還兵でありボイシでコンピュータショップを営んでおり、マックスは店内にあるコンピュータに自由にアクセスできる子ども時代を過ごしたということもあり、彼自身 “I was a computer geek from young age”「幼いころからコンピュータギークでした」と答えています。
コンピュータギークと聞くと、その道には精通しているが性格的には内気で社交的に乏しい人たちというイメージが付きまといます。
平均的なことを言えば間違っていないかもしれません。
番組からは伝わってきませんがマックスは少し違っていて、実は身長6.5フィート(約198cm)を誇る体躯の持ち主で、不良に絡まれても物怖じしない人物だったといいます。
そのようなこともあり、中学時代に趣味を同じくしていたギーク仲間たちからは非公式ながらボディガードのような役目を任されていました。
オタッキーな人たちは体育会系の連中と比較して腕っぷしでは劣るが、勉強に対してはマジメでよくできるというイメージがあります。
マックスはこのステレオタイプにも当てはまらなかったらしく学校のカリキュラムをバカにしていて、授業に参加はするものの机の上ではコンピュータ関連の雑誌や Phrack をプリントアウトしたものを読んでいるような状態だったとのことです。
ここでマックスのヤンチャっぷりがわかるエピソードをひとつご紹介します。
夜間の学内不正侵入

ひょんなことから学内のマスターキーを手にしたマックスは友達のひとりジョンと夜間に侵入し、壁へのメッセージの書き込み、消火器の撒き散らし、理科室内の荒らしなど、やりたい放題暴れまわりました。
翌朝もう一人の友人セスの電話が鳴り出ると相手はマックスでした。「お土産を置いておいたよ」という言葉に従い外へ出ると、理科室から盗んだ大量の薬品が置かれており、セスはパニックに陥ります。
すぐに裏庭に持って行き埋めようと穴を掘っていると、そこへ母親が現れ通報となりました。
事の経緯はジョンが校長室で自白し、マックスが乗っていた日産車からも薬品の証拠が検出されることとなりました。
事態を重く見た学校側によりマックスは追放処分となり、警察の御用となります。
このとき精神鑑定を受け、
結果としては保護観察処分で収まりましたが、この事件はマックスの人間性を考える際に参考になります。
大学時代の彼女エイミー
ここらへんから仰天ニュースでのストーリーと私が実際に収集した情報に差異が出てきます。
番組で放送されたとおり、マックスにはエイミー(Amy)という名の彼女ができました。ちなみに仮名です。
番組内では高校時代の彼女という設定ですが、実際に関係が深まったのはマックスが高校過程を終了してからとのことです。エイミーの年齢はマックスのひとつ下です。
エイミーから見たマックスの第一印象はクールで、反抗心があり、かつヤンチャな雰囲気もありボイシのほかの連中とは違うという感じだったらしいです。
マックスの強い勧めにより彼女は彼が熱中していたネットゲームを始めます。自らの趣味を共有してくれたのですからマックスのテンションが上がったのは想像に難くありません。
ほどなくしてエイミーはオンライン上で友達を作り始めます。その中には当然男性も含まれていました。所詮バーチャルな世界のことですがマックスは嫉妬し、次第に両者の関係は険悪になります。
ちなみに仰天ニュースでは彼女の携帯電話に侵入し他の男性と親密な関係を知ってしまったということになっていますが、私がいくら調べてもそのような話は出てきませんでした。
ちなみにこれ1990年の話ですが、アメリカでは学生が携帯電話を所持しているような時代だったのでしょうか。
以下のようなデータがあります。

アメリカ合衆国における携帯電話の加入者数の推移です。
1990年のアメリカの総人口が約2億5千万で、この表を見る限りでは当時の加入者は1千万もいない感じなので、マックスとエイミーがこの中に含まれるというのは確率的には考えにくいです。
ちなみにシカゴ出身の知人は「1990年に携帯電話を保有していたのは、お金のあるビジネスマンだけ」と言っていました。
次章:天才ハッカーアイスマンの正体とマックス・バトラーの素顔 – 第2章

日本語でアイスマン事件を記した唯一の本!
世界仰天ニュースで放送された「天才ハッカーアイスマン」の成り行きを描いた書籍です。番組では編集上の問題でおしくも省かれてしまった事件の全貌を知りたい人にとっては最高の一冊です。首謀者であるマックス・バトラーを記した書籍としては唯一日本語で読めるものとなっています。
◎テレビで放送されていない話が満載
×翻訳に一部問題あり

アイスマン事件をつぶさに追った元ハッカー、ケビン・ポールセン氏の一作!
こちらは上で紹介している書籍「アイスマン」の原本となります。世紀の大規模サイバー犯罪としてアメリカ国内でも多く報道されましたが、ひとつの書籍としてまとめられているのはこの一冊だけとなります。英語を勉強している人にもおすすめの一冊です。
◎アイスマン事件を知るには一番の良書
×洋書なので英語の知識が必要

天才ハッカー、マックス・バトラーが競合サイトを乗っ取る際に利用した SQLインジェクションや、その他数多くのサイバー攻撃の手法を実際のコードを用いて説明した良書です。本来はそのようなサイバーテロを受けないための防御側の指南書となっています。悪用厳禁!!
◎Webサイトの攻撃手法をとても分かりやすく解説
×コンピュータ言語を多少なりとも理解しておく必要あり