私がいままで出会った中で一番英語ができた人
「英語ができる人」とは英語のネイティブスピーカーのことではありません。
ネイティブが自身の言葉に長けてるのは当たり前ですね。日本人を指して「日本語の能力がすばらしい」とは言いません。
以下のお話は、私たちと同様に英語を習いマスターした人についてです。
英語圏で英語を教える非ネイティブ
私がいままでお会いした人の中で最も英語ができた人はルーマニア出身の方です。
初めに言ってしまうと、私がニュージーランドに語学留学していたときに通っていた学校で英語の教師をしていました。
当時はまだ若さが残る30歳くらいの男性の方でした。
さらっと話しましたが、これってすごいことではないですか?
ネイティブでない方が英語圏の語学学校で英語の教師をしているのですよ!
考えてみてください。
海外に語学留学に行くというのは、お金がかかります。語学の勉強は自国でもできますが、わざわざ海外まで行くというのはある程度の覚悟があるからですね。
結果として他国で学ぶ人たちというのは、当時の私も含め、現地のネイティブの人が教師をしているということを前提にしています。
つまり教師の方の英語のスキルが完璧であることを暗黙の了解としているのです。
そのような環境で英語を教えるということを非ネイティブがやってのけるということは、つまり英語という第二言語に対して絶対的な自信があるということです。
文法などで一度でもミスを犯したら生徒からの笑いものですね。そのような心配が本人には無いということです。
英語の世界観を完璧に理解している
単に「英語の文法が理解できる」というレベルでは、英語圏での英語教師など到底務まりません。
例えば、英語では前置詞が変わるだけで文章の意味がガラリと変わります。
以下の2つのセンテンスを見てください。
- I joined a gym for losing weight.
- I joined a gym to lose weight.
for か to かという問題ですが、両者の意味は違います。
①は「やせるためのジムに入った」で、②は「やせるためにジムに入った」となります。
よって①のような言い方をしてしまうと、

というような印象を相手に与えてしまう可能性があります。
こういった使い分けは無数に存在します。
ルーマニア人の彼は、英語が持つニュアンス、別の言い方をすれば英語という言語が持つ世界観を完璧に理解しているということです。
前置詞をイメージで覚えるならこの本 『ネイティブが教える ほんとうの英語の前置詞の使い方』
彼の履歴書
当時直接聞いたことがありますが、彼が英語の勉強を始めたのは13歳の頃だということです。
最近の日本では小学校高学年で英語が必須科目となっていますが、昔は中学に入学した後からでしたね。13歳が開始時期です。
つまり彼が英語を学び始めた年齢は、我々日本人と変わらないのです。
ちなみに彼の母国語であるルーマニア語は東ヨーロッパの言語であり、西に属する英語とは親戚関係ではあるものの、そこまで近い間柄ではありません。
もちろんラテン語という共通のルーツがあり、日本語と比べれば英語に近い位置に属しますが、それでもルーマニアの人たち自身英語に対してことさら親近感が沸くというような感性は持っていないはずです。
ルーマニア語はむしろイタリア語に近い言語です。
彼がどのような理由で英語に没頭するようになったのかその理由までは聞いてませんが、とにかくものすごい量の英単語を覚えかなりの洋書をいままで読み漁ってきたということです。
私は常日頃から「英語のスキルを上げたいのであればリーディングは必須」と言っていますが、やはり英語ができる方たちはリーディングの重要性を正しく認識しているようです。
彼の英語の実力
第二言語としての彼の英語の実力がどれほどのものかと言うと、以下のような感じです。
- スピーキングは完璧
- リスニングは完璧
- リーディングは完璧
- ライティングは完璧
- 英単語のスペルを間違えない
- 英単語の発音記号が書ける
実際のところを言ってしまうと、英語の発音は明らかにネイティブではありませんでした。
ただしそれ以外はネイティブと比べても
実はネイティブの方が英単語のスペルを間違えるということはたまにあります。
自分がホワイトボードに書いた単語のスペルが間違っていないか、生徒が持っている辞書で確認するという教師の方も語学学校にはいます。
彼はそういったことが一切ないどころか、英単語の発音記号さえも問題なく記述できるレベルでした。
まわりのネイティブの教師の人たちが「彼の英語の能力はすばらしい」と賞賛していました。
ただし彼の授業に不満を持つ生徒は少なからずいました。
つまり「せっかくニュージーランドまで来たのに、先生が現地の人じゃないから意味がない」ということです。彼の実力を過小評価していたのでしょう。
彼は英語が完璧にできる上に、非ネイティブであるからこそ英語に対してのプラスアルファの知識を保持していたので、私はそういった不満はナンセンスだと思っていました。
ただし同時期に学校にいたポーランド出身の男子生徒が、彼を指し「すばらしい先生に出会った」と言って喜んでいました。
その生徒は当時すでにタイムマガジンを辞書なしで読めるスキルがあり、歴史や政治系の議論も難なくこなせたので「なんでそもそも語学留学に来たのだろう」と私は不思議に思っていました。
単に遊び感覚で来ていたのかも知れません。
そのポーランド人生徒は英語の感覚がすでに研ぎ澄まされていたので、おそらくそのルーマニア人の教師を試すため英語についての無理難題とも取れるような質問を飛ばしたのでしょう。
それを難なく回答したことに
とにかく「あの先生はすごい」と言っているのが印象的でした。
現在はマンチェスターにいるとのこと
Facebook で確認をすると、現在はイギリスのマンチェスターにいるとのことです。
おそらく、そちらの語学学校に勤務しているのでしょう。
あまり関係のない話ですが、アジア人女性に感心があるのか当時は日本人女性の方と交際していました。
またいつかお会いすることできたら光栄です。