天才ハッカーアイスマンの正体とマックス・バトラーの素顔 – 序章

世界仰天ニュースの内容はデタラメ

日本テレビ放送ザ!世界仰天ニュース「天才ハッカーアイスマンの正体」をたまたま観る機会があり、IT に関わる者として、いくらか興味が湧き、海外資料を当たってみたところ、放送された内容の多くに事実誤認があったので書き記しておきます。

番組の演出上、事実と違うことを映像で流しているだけという指摘はあるかもしれませんが、若干厳しめに行こうと思います。
 
ちなみにザ!世界仰天ニュースをここでは「仰天ニュース」もしくは「番組」と省略して記します。

修正箇所が見当たれば逐次更新していきます。

max-long-hair
マックス・バトラー

番組内では上の写真のみが使用され、かなり謎めいた印象を持った視聴者が多いと思いますが、ここではマックス・バトラーの真の人物像に迫るため、その他の写真も使用したいと思います。
 
ちなみに私が目を通した資料全てを元に事の成り行きを余すことなく書くと、彼の伝記になってしまいかなりの量になってしまうので、ストーリー自体は所々省略します。

※マックスが逮捕されたのは2007年9月5日ということで、為替レートはその年の平均で計算し1ドル117円とします

訳書『アイスマン』について

iceman

アイスマン事件を記録した KINGPIN の訳書にいくらか目を通しています。
 
翻訳というのはなかなか骨の折れる作業なんで、訳者の方には頭が下がりますが、以下の理由により、いくらか問題があると個人的に考えています。

① 訳語のチョイスが不自然

② 訳さずに飛ばしている文章が存在

③ 人名のカタカナ表記がおかしい

① は例えば、以下のような訳文です。

“…the contents of the RAM would have evaporated.”
「…RAMの中身は雲散霧消してしまう。」

ここは「揮発してしまう」というのがコンピュータ的に正しい表現だとおもいます。

② は訳書では往々にしてありることです。

そうです。

みなさんが読んでいる訳書の多くは本筋からズレない範囲だけですが、いくらか文章を飛ばしてまとめられています。

私は報酬をもらうという形で翻訳作業をした経験はありませんが (ご飯をごちそうになったことくらいはあります) 、訳すことが困難な箇所でも、注釈を付けてでも全文翻訳する主義なので、こういうことには違和感を感じます。

③ は、Giannone を「ジャンノーネ」や Silo を「シロ」と表記しているところです。

「ジアノーン」と「サイロ」のほうがより正確でしょう。

ハッカーかクラッカーか

hacker-or-cracker

ハッカー:
常人よりコンピュータシステムやネットワークについて深い知識を有するもの

クラッカー:
自らのコンピュータ知識を悪用し、権限を持たないシステムへ侵入し破壊行為を試みる者

上記は辞書からの引用ではなく、あくまで私個人が考える定義です。

今では特定のキーワードを打ち込み数回クリックするだけで無料のハッキングツールや社会を震撼させたコンピュータワームのソースコードが入手可能です。

それどころか、最近発見されたセキュリティーホールを公表するサイトや、それらを攻撃するツールを早い段階でアップし、無料でダウンロードを行えるサイトすら存在します。
 
一昔前にハッカーと聞くと、ALTOS や IRC などに足繁く通う一部の凄腕プログラマという、なんとも言えないミステリアスな雰囲気が漂っていましたが、すでに述べたように現在では他人が作ったツールを使えば誰でもインターネット空間でイタズラができ、ハッキングという言葉自体がだいぶ世間になじんだという感じがします。

ではハッカーとクラッカーの違いはなんなのでしょうか。

私は基本的に同じものと考えて問題ないと思います。

「ハッカーという言葉自体に悪い意味合いはない!」

「システムに不正アクセスして破壊行為を行うやつはクラッカーだ!」

その通りです。間違っていません。
 
ではそれら言葉の発祥地アメリカではどうかと言うと、hacker でほぼ統一されています。

crack という単語は「パスワードを破る」という意味合いが強く、「ネットワークをクラックする」などという文章を見ないわけではないですが、両者はこだわりなく使用されている感じを受けます。

そもそも善意のハッカーと悪意のあるハッカー、つまりクラッカー、という名前分け自体アメリカ発ですが、その試みは見事に失敗しています。
 
Yahoo!ニュースや Youtube などのコメント欄を見ると、ハッカーとクラッカーという呼称分けにやたらと固執する人たちがいますが、それは木を見て森を見ない類の議論だと思います。

上記の理由により、アイスマン関連の投稿内ではハッカーという言葉で統一します。

悪しからず。

次章:天才ハッカーアイスマンの正体とマックス・バトラーの素顔 – 第1章

<アイスマン関連書籍>

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