暇人の英語雑記ブログ

星島貴徳物語 – 第2章

2018.08.242018.08.23事件

女性を自室に拉致

女性は918号室へと拉致される過程においても無抵抗だった。

耳を澄ませていたわけではないので今となっては分からないが、彼女は息が少し上がり気味で恐怖から体も少し震えていたかもしれない。

玄関を出る前に念のため一言脅しを入れておいた。記憶が曖昧だが、首かほっぺたのあたりに包丁をあててこう言った。

「これから外に出すから、おとなしくしろ」

玄関の扉を少し開き廊下を確認する。誰もいない。

出るためにドアを開けると、女性が前のめりに倒れ、床に頭を打ちつけた。

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それを引っ張り上げるように起こし、自室へと連れて行った。

この時も彼女は叫び声などを上げることなく静かにしていたが、仮に声を張り上げるようなことをしていたら916号室にいったん戻すか、恫喝する、または再び殴るなどの行為に及んでいたかもしれない。

918号室に連れ込むと、彼女を正座のような恰好で座らせた。

部屋の突き当りにあたるベランダ側にはベッド、その脇の壁には大きなアニメのポスター。右側にはパソコンのスクリーンが取り付けられた机がある。ビデオなどもこのパソコンで観たりする。

机の上に包丁を置くと、その反対の部屋の左側に空気ポンプで膨らませるタイプのマットを敷いた。

寝台部が高くなったベッドの上に彼女を持ち上げるのは難しいと考えたからである。

正座している女性の手グビを右手でつかみマットのところまで歩かせ、その上に寝かせた。乱暴するためである。

彼女の頭はベランダ側に向き、足は玄関側に向く仰向けの状態だ。

彼女はいたっておとなしかったが万が一暴れられては困るので、たまたまベッド下の段ボール箱の中に無造作に入っていたビニールひもで手足を縛り、口にはクローゼットにあった白いフェイスタオルを詰め込んだ。

左手で彼女の頬をつかみ、右手の人差し指と親指で押し込むと、全体の3分の1程度が口の中に収まった。

手足は4重ほどに巻き付けるなどし、きつめに縛った。

さすがにきつ過ぎたのか、女性は手を開いたり握ったりという動作を繰り返していた。

手首だけでは物足りなさを感じたのでコートの上から巻き付けるように、腕と胸と背中が全体をひとまとめにして縛ることもした。

彼女のキレイな黒髪がいくらかひもに巻き込まれたが、それでもかまわず縛った。

女性の呼吸は荒い。

マットの上にあおむけに寝かせた後、玄関で拾った黒いバッグの中身を物色した。携帯電話を探したのである。

「彼女の友人から着信があった際に出ないと不審に思われるかもしれない、いっそのこと電源を切っておいたほうが無難だ」

いたって単純な理由である。

携帯電話には動物をあしらった白いアクセサリーが付いていた。

ただし電源を切ろうにも、初めてみるタイプの電話だったのでボタンがどれかが分からない。

面倒なので、一番手っ取り早い手段を取ることにした。

自室にあったマイナスドライバーを使用し、携帯の裏蓋をこじ開けて電池を外した。そしてその後に携帯はバッグに戻した。

彼女に目をやると、目隠しが鼻にまでかかる状態で少し苦しそうにしていたので、少しばかり緩めた。

その時におでこの左側に5センチほどのたんこぶ状のキズがあることに気が付いた。自分が殴ったときにできたものだろう。ジャージにも血が付いている。

4月上旬の涼しい時期だというのに、女性は恐怖心からか汗をかいていた。

とりあえず出血を止める必要があると考えクローゼットからハンカチを取り出し、それを水に濡らしておでこに当てて冷やした。

「もしかして廊下にも血が付いているのではないか。誰かが通ったら不審に思われるかもしれない」

このような考えが頭に浮かび、クローゼットからタオルを2枚取り出して外へと出た。

916号室の扉の前に数センチの血痕があり、動転した星島は部屋の中にも同様に血が付いている可能性を感じ916号室へと入った。

部屋の奥まで進むと、キッチンの前あたりで自分自身の足跡と血痕を発見した。

洋室自体は汚れた様子はないが、とりあえず部屋の廊下のフローリングをあとずさりするようにしてキレイに拭いていった。

犯行時は靴下以外は何も足に身に着けていなかったが、当日は雨だったのでそれが染み込み足跡が付いてしまったのであろう。

フローリング以外にはキッチンの扉も拭いておいた。自身の指紋が付いている可能性があったからである。

まわりにはお菓子とその中のクリーム、また雑誌のホットペッパーが落ちていた。

お菓子はつぶれた状態で玄関を汚している。おそらく女性ともみ合いになったときに散乱したのであろう。

玄関脇に置いていた彼女から脱がせた白いブーツは、あたかもキレイに脱いだかのように位置を揃え、散らかっていたお菓子などな自室に持ち帰った。

最低でも週明けの月曜日までは事件が発覚しない想定だったので、犯行時にそこまで丁寧に事件を隠蔽する必要性はなかったが、犯行時は正気ではなく今考えるとずいぶんと不可解な行動をしていたように思える。

916号室の玄関ドアもしっかりと拭いた。最後に対応したのはドアノブだ。

マンションの廊下に落ちていた血の跡も同様にキレイにふき取った。

ヤケドという負い目

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星島には両足に大きなヤケドの跡があった。1歳11か月という物心がつく前に負ったもので、これが自分の中ではスティグマとなり大きな負い目となっていた。

人格形成にも多大な影響を及ぼした。

ヤケドを負うにいたった経緯は直接両親に聞いたことがある。

「ネコを追いかけていて、沸かしているお風呂のふたの上に乗って落ちたことが原因だ」

「そうなんだ・・」

それ以上深く聞くことはなかった。

自分の中に記憶が無い以上真相は分からない・・。両親がわざと落としたのではないかと疑うことさえあった。

常識的に考えて大切な息子にそのようなことをするはずがない。

ただし親には監督責任があり、それを怠ったことが原因の一端であることは確かだったので、そのことをひどく恨んだ。

小学生の頃に着用していた制服の下は半ズボンであり、ヤケドの後が見えた。それがとても嫌だった。

税務署で働いていた父の仕事の関係で、小学生のときに2回中学生のときに1回の引っ越しを経験している。

学校で「火だるま」や「ヤケドっ子」とからかわれたことがあり、そのことを父に相談すると逆に怒られてしまった。

父は「人は見た目ではない」という考えが強い人間であり、外見でくよくよしていることに憤慨しているようだった。

またヤケドを背負っても乗り越えて生きてほしいという願いから、「ヤケドの跡を隠すな」とも言っていた。

少しの油断が取り返しのつかないことになると身にしみて感じてたようで、兄弟を含め自分たち子どもには厳しくしつけをしていたのだ。

ただし父のこのような態度が星島には理解できなかった。

「どうして自分のことをかばってくれないんだ・・」

覚えている限りでは、高校を卒業し就職のため上京した後に両親に会ったのは2回だけ。

もう10年以上も音信不通である。

勃起しない・・

918号室へと戻り彼女に目をやった。

「自分の計画と実際に発生したことが違い過ぎる」

まず激しい抵抗にあったことが想定外だった。同人誌で見るようなシーンではもっとスムーズに事が運ぶ。

そしてなにより彼女に暴力を振りケガをさせてしまったことが痛恨のミスである。気持ち良くさせることで彼女をものにする計画が台無しである。

このままでは21日の月曜日に解放するときに警察に通報される恐れがある。

どうしようか・・。

カメラを購入し彼女の写真を取ることも一瞬考えたが、それでは計画通りにはいかないとすぐにあきらめた。

また額のケガも彼女の知人が不審に思い、事件が明るみに出るキッカケになる可能性がある。

焦りや恐怖、不安などに襲われた。結果として大問題が発生してしまった。

「勃起しない」

これでは彼女に性の快楽を与えることができないと考えた星島は、なんとか事態を打開しようとてっとり早い方法に出る。

照明を消した暗い部屋の中、机に取り付けてあるパソコンのモニタで AV を見始めたのである。

音声は消していたということまでは覚えているが、出演していた女優はすでに記憶にない。あの極限の状況で覚えている方がどうかしている。

廊下の明かりは付いていた。

拉致されて横たわる女性には一切話しかけなかった。

話す言葉が浮かばなかったということもあるし、話しかけると自分1人の犯行であるということがバレるという理由もある。

部屋は暗く静まり返った状態だ。

女性に目をやると、口に詰めておいたタオルを吐き出している。叫ぼうと思えばいつでもできる状態だ。

彼女に近づきタオルを詰め直す。はっきりとは覚えていないが、2-3度同様のことをしたはずだ。

額のキズあたりにできている腫れが早く引いてくれることを願い、当てていたハンカチは何度か濡らし交換もした。それ以上のことは何もしていない。

「ケガが直らないと強姦ができないし、できなければ性奴隷にもできない。つまり月曜日に解放もできない」

全くもって身勝手な考えだが、犯行時はそのことしか頭の中になかった。

次章:星島貴徳物語 – 第3章

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