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トランプ大統領の鉄鋼関税は中国の世界覇権に対抗するもの

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 米トランプ政権による鉄鋼の輸入制限措置を受け、インドでは第2四半期(4~6月)に、中国からの鉄鋼輸入が前期比67%増の36万2,000トンへと急拡大した。中国と同様に輸入制限の対象となっている日本や韓国からの輸入も大幅に増加している。ファイナンシャル・エクスプレス(電子版)が6日に伝えた。
 
 米当局は今年3月に、中国や日本、韓国、インドなどから輸入する鉄鋼に対して25%の追加関税を課す輸入制限措置を発動した。これを受け、米国に輸出できなくなった各国の鉄鋼がインドに流入している形だ。

略)

アメリカのトランプ大統領が中国や日本から輸入される鉄鋼に対して関税を課す大統領令にサインをしました。

多くのケースでは、それによって影響を受けている側面が淡々と報道されるだけで事の背景が見えてこないので、ここでごく簡単に説明します。

ここで記すことは、あくまでも全体の一面に過ぎません

もともとトランプ氏が主張していることは「フェアな貿易」ということであり、今までのアンフェア(不公平)な体制を是正するということです。

なにもアメリカの国益のために他国に対して貿易戦争をしかけるなどという、自己中心的な目的ではありません。

では何がアンフェアなのか?

鉄鋼で説明すると分かりやすいです。

中国がアメリカを制圧する形で最終的に世界覇権を握ろうとしているのは、誰の目から見ても明らかです。

真正面からアメリカと軍事衝突しても勝てる見込みはゼロなので、内側から内部崩壊するよう経済戦争をしかけています。

その方法はと言うと、中国政府は国内の鉄鋼メーカーに対して公的補助金という形で資金投入を行い、意図的に鉄鋼価格を下げています。

「自由貿易」と言うと聞こえはいいですが、このように不正に価格が下げられた製品が世界市場で優位な立場に立つことは自然な流れです。

例えばアメリカ国内の製品と中国発の製品が同レベルの品質の場合、後者が買われることによりお金は確実にアメリカから中国へと流れていきます。

これによりアメリカの中国依存が始まり、それに伴い自国内の鉄鋼メーカーは衰退していくのです。

そしてアメリカの鉄鋼産業が短期間では立ち直れないほどに脆弱になったときに、中国政府は国内メーカの補助金をカットして鉄鋼価格を吊り上げると同時に、それら中国企業に依存するアメリカに対して多大な影響力を行使するという方式です。

トランプ大統領やかつての側近スティーブ・バノン氏らは、その中国のしたたかな野望に気付いており、それを止めなくてはならないという使命感に燃えています。

中国は中国で、面と向かって「我々の世界覇権の野望の邪魔をするな」とは口が裂けても言えないので、「アメリカの手法は WTO の協定違反である」などと、それらしいことを言って反論しているのです。

これに乗る形でトランプ政権を批判するメディアが国内に多数存在することも、これまた厄介です。

トランプ大統領が言っていることは「フェアな貿易体制の構築」なので、中国政府は国内産業に対しての資金投入という形で、世界市場における製品価格の低下を意図的に招くことを止めればいいだけの話です。

今回はトランプ政権の関税政策を別の一面から見てみました。

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